古来、赤子の命ははかないものでした。やっと世に出たその命が、わずか二日三日で果ててしまうなど日常茶飯事のことでした。人々は何とか赤子が天に召されることがないように、悪霊の目につかないようにと祈りました。そのために生まれてきた子にわざとお古のぼろ着物を着せたりしました。また自分たちが生んだ子ではない、拾ってきたんだと言い繕うために、幼名を「お捨て」、「拾い」などのようにしました。
≪初着(産着)・お宮参りの由来≫
そんな赤子が何とか生を永らえ、人生を自分の力で生きていける気配が見えた時、赤子は生後はじめて氏神様に御参りして氏子となりまた。男児31日目、女子32日目に参ることが多いですが、モモカマイリといって100日目に参る地域もあり、場所により違います。
(※最近ではお子様の健康状態や産後の母体への配慮を十分に考え、天候の良い時節や吉日を選んでお参りされる場合が多いです。)
赤子には里から贈られた産着(うぶぎ)を掛け衣装としてまといました。男児には熨斗目(のしめ)女児には柄模様の晴着を着せました。社前に御神酒と赤飯を供え、赤子をつねって泣かせ、神様の印象に残し、将来の加護を祈りました。このお宮参りの行事が済んで、氏神様に認めていただいく事により、赤子ははじめて村の一員となることが出来ました。
≪お宮参りアドバイス≫
Q.どこの神社にお参りするか
本来、お宮参りはその家の氏神様にお参りするものです。その家の新しい家族を自分の家の氏神様に紹介・挨拶することが、お宮参りのそもそもの起源です。
著名神社にお参りすれば、舞台は申し分ないでしょう。またギャラリーも多く晴やかな気分になれるでしょう。しかし本来の趣旨を考えると、やはり家の近くの神社にお参りする方が良いように思われます。また生後間もない赤ちゃんのためにも、何かと家の近くが良いでしょう。
神社では社務所に申し出て、本殿で神官のお祓いを受け、 祝詞をあげてもらいます。神社へのお礼は熨斗袋か封筒に入れ、表書きに「御玉串料」と書き添えると良いでしょう。最近は社務所の受付にお宮参り祈祷料いくらと明示してある所もあります。なお神社でのお参りは「二拝二柏手一礼」が正式です。二回おじぎをして二回柏手(かしわで)を打ち、そして最後に一回おじぎをします。
Q.初着はいつどのように着せるのか
季節や状況により異なりますが、神社まで赤ちゃんにとって快適な服装で赴き、境内で1枚脱がせ、その上に初着をかけます。初着の襦袢は付けたままでも外してもどちらでも良いです。赤ちゃんが暑かったり、逆に寒かったりすることがないように注意を払いましょう。
初着はベビードレスを着た赤ちゃんの上から優しく掛けます。初着の紐をお母さんの肩から背中に回し、しっかり結んでおきましょう。地域の風習によっては、この紐に扇子や犬張り子、でんでん太鼓などをぶら下げ、縁起をかつぐ地域もあります。
赤ちゃんを抱くのは、日本古来の伝統では父方の祖母です。しかし今は令和の時代、やはりお母さんが抱っこしても問題ないと思います。お母さんの体力の回復を待ち、赤ちゃんが外出するのに適当な季節を選び、神社に赴きましょう。時間帯は午前中が理想です。予定していたとしても、天候等が思わしくなければ、中止できる柔軟な計画を立てましょう。すべては赤ちゃんとお母さんが第一です。
Q.親・祖父母の服装はどうするのか?
一概にこれでなければならないという服装はありません。しかしお宮参りは一生の思い出に残る家族の大切なメモリアルイベントです。写真も撮られるかとおもいます。それに神聖な神社の本殿に上がるのにカジュアル服装は浮いてしまいます。やはりお着物かフォーマルな服装がよろしいでしょう。
また母方、父方の祖父母もお参りされる場合もあるかと思いますが、双方の服装の格を合わせることも大切かと思います。お宮参りにやり直しはききません。どうぞ悔いのないお参りを!
Q.家紋について
男の子の初着には家紋を入れます。両胸2ヶ所・背中1ヶ所・両袖2ヶ所の計5ヶ所に紋入れします。紋は嫁ぎ先の家紋(父系の家紋)を入れます。
※家紋には意味(背紋=ご先祖、両胸紋=両親、袖紋=祖父母)があります。必ず我が家の家紋を入れて下さい。
女の子の初着には家紋は入れません。入れたいという希望がある場合には、背中に一ヶ所入れる「一つ紋」をお勧めしております。
Q.「のし」 「持っていく時期」について
父方の御祖父母より婚家に正式な祝い品として持参する際には、熨斗(のし)を付けます(
福井県嶺北地方)。はんなり屋では本格派の熨斗(のし)を掛けてご納品させて頂きます。
母方のご実家へ持っていく時期は母の退院後、1週間〜2週間のお日柄の良い日午前中がベストでしょう。母方からの催促はしにくいですのであまり遅くなると心配されるケースもよくありますので、あらかじめ先方に持って行く時期をお伝えされとくと良いでしょう。
Q.初着(男児女児)を七五三に使うには?
お初着は3才、5才の七五三に利用できます。
(1)袖は手を通す部分を除き綴じます。袖の下部部分は袖らしく丸みを付けて縫い込んで下さい。(難しければ二ヶ所ほど袖を綴じるだけでも可)
(2)肩揚げ、腰上げをします。縫い目が下にくるように縫います。両端を1〜2cm持ち上げ気味に縫うときれいに見えます。
(3)結び紐は外さず残しておき、付け紐(腰紐)として利用しましょう。
(4)女の子の場合、襦袢の半襟を付けると可愛く仕上がります。
4点ともお母さんの手縫いで十分仕立てられますが はんなり屋でも着物、襦袢、の肩揚、腰揚、袖の丸みつけを合わせて9,350(税込)円でさせて頂きます。こちらもご利用下さいませ。
本番の際、女の子は着物には結び帯または被布コートとあわせて、かわいく決めてあげて下さい。なお7才での着用はサイズ的に無理です。男の子の場合、五才七五三では着物と袴で、凛々しく決めてあげて下さい。(五才七五三では着物と袴の上に羽織を着ても素敵です。)
※その他、結婚式のおよばれやお正月、桃の節句、秋祭り等に着せてあげると大変可愛いです。せっかくですので1度でも多くお気軽に着てお楽しみ下さいませ。